お題の名前を聞くと ?? かと思いでしょうが、みなさんが日ごろ行っている


”すじを通す”


という意味のお題で始めさせていただきます。


人生・生活の中で普通はマナーを守って世間のルールを守って生活をされていることかと思います。

今回は土木工事における ”筋の通し方” で、「これは筋が通っていないな」という依頼が来まして少々オイラが設計図面を修正させているお話です。


いろんなところを通してオイラのところを紹介されたという事で、初めての建設会社さんから連絡があってお仕事をさせていただきました。



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この工事は 「ため池の改修」

そのために1000m近く山を切り開いて仮設道を作って、現場まで行く道を作るのもこの工事の一部でした。

設計会社は「コンサルタント会社の某大手パ〇〇」。


古い等高線が入った地図を使って、平面図や横断図をってあったのですが、仮設道路も延長が2倍違うとか、横断図もどこのものかさっぱりわからないものでした。線形や座標値なども何にもなし。つまり ”図面にみせたイラスト発注図面”でした。


現場に行くと、「設計した人間。絶対ここには来ていないな」という感じで全く現場とは違う箇所の図面でした。


ま、直すため池は現場にあるので、そこに行く仮設道路を下記の手順で計画しました。


1)GNSS機でため池の箇所を計測

2)入口をGNSS機で計測。

3)国土地理院のHPより5m数値地図メッシュをダウンロード

 (昔の10mメッシュは古い地図をベクター化したもの。5mメッシュはレーザー飛行

   データも取り入れられてずれが少ないです)

4)AutoCAD Civil3D に等高線を取り込んで計画の”線形・標準断面”を3Dで作成して、

 切土盛土のバランスを考えて仮設道路の仮計画を行う。

 ついでに、法務局の公図を座標系に変換して図面にプロット。


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5)大きな木がある中、GNSS機で伐木範囲を現場でPPロープ明記。

6)伐木(他業者で)

7)UAVにて写真測量を行って現況地盤の形状を点群で作成

8)再度線形・横断図を作成

9)現場施工用、基準点を作成 → 現場職員に引き渡し


と、結局発注コンサルタント図面を使う事は無く、施工に入られたという事です。


さて、”すじ”というお題ですが、このような図面を発注した役所はどのように責任を取るのかという事。このように建設会社が工事を行う努力をしているのに、

「道路幅は設計で3.5mしか見れません、後は業者の責任で」

図面が間違って500mの道路ですが、10tダンプが離合するところもお金が見てもらえず、業者責任で掘削して拡幅しているのに、土量計算なんか合わないに決まっています。


「よその業者は設計変更なんかせずに、自社努力でやっているんだぞ」

といわれたそうです。

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まだまだ地方ではこんな公共工事が横行しているのですが、「物理的に無理な仕事をさせる公共工事」って、”すじ”が通っていないですよね。


どのような経緯でこの発注図面が出来たかわかりませんが、設計会社の責任も出てきても良いでしょう。(延長が2倍違って、施工できない図面を作って納品している)


来年から設計コンサルタント会社で3Dモデルを作成して建設会社に渡すことになっていますが、コンサルタント会社でざわついている(悩んでいる)話を聞いています。


発注者(公務員)・設計コンサルタント会社・建設会社。無駄無し・最良の公共工事ができるように今一度、仕事方法と人材の形態を見直さないと、今後の土木は発展しないと感じているもぐらでございます。